あっしの人生 流れ旅【ツルナ】
おひかえなすって。
手前生国は大海の彼方,風の吹くまま気の向くまま潮の流れに乗って漂いこの地に参りやした。人呼んで「ツルナ」と申しやす。エゲレスのクックとやらがあっしのことを「海岸に生えるホウレンソウ」と呼び,エゲレス辺りではそう呼ばれてやんす。
ガキ(種子)の頃は漂い易く,表ヅラはコルク質で,たいへん軽く海水にプカプカ浮くようにできてやんす。
多くの仲間は未だ漂ってやんしたが,宇品の砂地に着いたが楽園,そこが根を張る場所となりやした。
しかしながら,渡世の身には世間(海辺)の風当たりも厳しく,あっしら植物は日照りと潮風には弱うござんす。ですから海辺で生きる知恵を付けやした。
一つは葉を厚くし 身体に水を蓄え日照りに耐えること,もう一つは余分な塩分を身体の外へ排出してしまう事でやんす。
葉の裏に観られる白いプツプツは塩分で,口に入れるとほんのり塩味がしやす。フランス料理のサラダで使用されるアイスプラントと同じでやんす。
黄色い花
宇品の島に根付き,黄色い可愛い花をみごとに咲かせやす。 以後お見知りおき,よろしゅうお願い申し上げやんす。
アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
和子