宇品島の歳時記(大暑)
こよみ便覧(べんらん)では 「暑気いたりつまりたるゆえんなればなり」
快晴が続き、気温が上がり続ける頃 。
土用(どよう)とは五行に由来する暦の雑節で,立秋の直前約18日間あり,大暑の数日前から始まり大暑の間じゅう続きます。五行では,春に木気,夏に火気,秋に金気,冬に水気が割り当てられており,残った土気は季節の変わり目に割り当てられ「土用」と呼ばれました。この期間は土の気が盛んになるとして,土を犯す作業や殺生が忌まれました。 炎天下に畑に出ていると罰が当たるのはこのためかしら?
桐始結花 (きり はじめて はなをむすぶ) 7月22日〜7月26日
盛夏を迎える頃には卵形の実を結びます。桐は伝統的に神聖な木とされ、豊臣秀吉などの天下人が好んだ花であり,現在も日本国政府の紋章として使用されています。
熟した黒いタネをつぶすと 白粉(おしろい)のような白い粉が出てきます。少女たちがおしろい代わりにして遊んでいたことから,江戸時代の博物学者,貝原益軒により命名されたと言われています。
小径でマンリョウの白い花を見つけました。
江村岡の枯葉の中から採取したカブトムシの幼虫がサナギになり,羽化しました。昭和の頃はヒラタクワガタしか観ることがなかったそうですが,平成に入ってカブトムシが森に放たれるようになり,個体数が増えたように思います。
土潤溽暑 (つち うるおうて むしあつし) 7月27日〜8月1日
熱気がまとわりつく蒸し暑い頃。私たちは、この暑さを打ち水などでしのぐことしかできませんが、木や草花は緑をますます濃くして夏を歓楽しているようです。
灯台のクスノキも初夏に芽吹いた葉が色濃くなりました。
この夏誕生したカマキリですがまだ翅が育っていないようです。
元宇品ではあまり聞かれることのないミンミンゼミの鳴き声が聞かれました。
夏休みの楽しみと言えば畑のスイカ。カラスや小動物たちとの争奪戦に見事勝利して,初物の収穫です。
プリンスホテル南側では干潮のため磯がすっかり現れていました。イソガニやアサリがたくさん採れました。
元宇品では毎年7月下旬に花火が上がります。
ここ数年は新型コロナ蔓延のため,みなと花火大会が中止になっています。寂しいですね。
大雨時行(たいう ときどきに ふる) 8月2日〜8月6日
夕立や台風などの夏の雨が激しく降る頃。
きれいな青空に湧き上がる入道雲は、夕立を教えてくれます。
「夏から秋まで約100日間,ピンクの花を咲かせる。」のが百日紅の名前の由来といわれていますが, 実際には,一度咲いた枝先から再度芽が出てきて花をつけるため,咲き続けているように見えるのです。
35度を超える暑さですが,木陰で赤茶色したおなかのヤマガラがさえずっていました。
今年もかわいいオタマジャクシが登場しました。お盆までにはカエルになって山に帰っていきます。
アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
坂谷知子