変形菌事始め 其の1
9月の最初の日曜日、台風11号が最接近する前に、元宇品を見ておこうと出かけてきました。空は青く夏の名残りを感じながら森へ向かいます。
林縁のあちらこちらで、オスのジョロウグモが自分の網を捨てメスの網を訪問していました。このメスは捕らえたセミに夢中です、オスは慎重にメスに近づいています。
チョウが上手く撮れると嬉しくなります。尾状突起が無いので「ナガサキアゲハ」かしら…。
森に着きました。森の小径は平坦では無く、左右に折れながら上り下りを繰り返します。海は近くなったり、遠くなったり…島の森には鳥の声と波の音が重なり合って響きます。谷に降りてきました。谷底には湿気があり、林縁のように昆虫やクモも多く生気を感じる魅力的な場所ですが、長袖を着ていてもやぶ蚊は遠慮なく刺しにやって来ます。
目の前の蚊を手で払いながらふと見上げると…えぇっ!
薄暗い森の斜面で、目にも鮮やかな黄色と白のペンキが倒木に流しかけられていま…?
えぇっ⁉⁉「ペンキじゃない………粘菌?」私はしばらくフリーズしてしまいました。だって、6mを超える倒木に4mはありそうな粘菌なのですから・・・。「熊楠先生、教えてください!粘菌ってシャーレで飼うものじゃなかったですかぁ~」思わず心の声が叫んでいました。
いや、まてまて、粘菌は、形はどうあれ最後は胞子を飛ばすんだったよなぁ~ナウシカでも粘菌の胞子がパフパフしてたよなぁ~粘菌でイグノーベル賞貰ってたけど、あれは何だったっけ~粘菌はアメーバ?菌とは言ってもキノコとは違うヤツだった
頭の中が混乱して思考が粘り着いていますが、取りあえず写真を撮っておきましょう。
数日後、注文した粘菌(変形菌)の図鑑が届きました。あれれ…
アメーバを調べるつもりだったのですが、ページを開くと、それはそれは美しく輝く小さな「待ち針」や「ガマの穂」のような写真で埋め尽くされています。
はぁ~、これは一から勉強だ…。
アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
副代表 畑 久美
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