赤い実と黒い実
若葉から青葉に移り変わり,小鳥のさえずりが心地良い季節です。元宇品の自然が一番輝きを増します。気持ち良い海風と波の音,時にはザブンと海に飛び込んだミサゴが,大きな魚を掴んで飛び上がる光景を目にする幸運に出会うことも出来ます。
森や海辺の散歩を楽しみながら,草むらにも目を向けてみましょう。
背丈を伸ばしかけた草の間に,赤い実が見え隠れしています。
そう,これはクサイチゴ。赤い透き通った粒が沢山集まって一粒の果実になっているんです。
そういえば4月の中頃には,バラに似た白い花が点々と咲いていました。
葉っぱは触ってみると,優しい毛が生えていてフワフワしていました。5月頃になると実が次第に赤く熟していきます。梅雨の今頃が食べごろ。小さな実より大きな実のほうがずっと甘くて美味しいですよ。名前には草が付いていますが樹木だそうです。
もう少し海岸を歩いていくと,赤と黒紫の実が葉っぱに隠れるようにぶら下がっています。
桑の実です。赤は酸っぱく,食べ頃になると黒紫になってポロンと落ちます。
クサイチゴと同じように粒々が集まった楕円形の果実です。
私が吉和冠山で初めて食べた時には,虫ではないかとびくびくしながら口にしました。ところが,食べてみるとなんとも甘いごちそうで,食べるのをやめられなかったほどでした。
桑の葉といえば,昔は蚕の餌として大切に育てられていましたが,化学繊維の進出で今では忘れ去られています。
ゆったりと歩けば,気分も爽快です。そんな楽しみをあなたも見付けてください。
アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
佐藤美佐子