宇品島の歳時記【大寒】

こよみ便覧(べんらん)では「冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也」  
一年で最も寒さが厳しくなる頃。  

「三寒四温」といわれますが寒い日が三日続いたその後の四日は暖かくなり,寒い中にも少しだけ春の気配を感じられます。 

款冬華(ふきのはなさく)  1月20日~1月24日   

凍てついた地面に蕗の花が咲き始める頃。 地面には雪が積もり強い寒さが襲ってくる時期ですが,草花は春に向けて着実に動き出しています。 山の中ではフキが薹立ちを始め,小学校脇の道路のタブノキの芽も丸くふくらんでいます。 

フキの蕾 1.22 江村岡
タブノキの芽  1.24 元宇品小学校 

庭のアジサイの葉痕はお猿さんの顔みたいです。 

アジサイ1.24 江村岡

水沢腹堅(さわみずこおりつめる)  1月25日~1月29日    

沢の水が氷となり,厚く張りつめる頃。  

今年は小寒には例年通り寒さが訪れましたが,大寒に入ってからは比較的暖かい日が続きました。一月では22日の一日だけ氷点下を記録しました。 

氷が張ったペール缶 1.22  江村岡

春野菜を植え付けるため畑を耕すとコロコロ出てくる寝切り虫。

 

コガネムシの幼虫 1.26 江村岡 

   

コガネムシは幼虫のころ植物の根を捕食します。いわゆる害虫です。そっくりなのにカナブンの幼虫は腐葉土を捕食する益虫です。残念なことにあまりにそっくりで見分けがつきません。 

鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)  1月30日~2月3日   

鶏が春の気を感じ,たまごを産み始める頃。 

自然な状態の鶏は,日照時間が長くなるにつれ産卵率が上がっていくため,春から夏にかけてたくさん卵を産みます。最近は鶏を飼育する家庭は見かけなくなりました。私が幼少の頃,我が家には鶏が数羽いて,朝になると卵を採るのが私の仕事でした。  

最近トビに交じって,山の上を旋回するミサゴをよく観かけます。「チョン ピー」と可愛く鳴きます。時に足に魚を挟んで山に飛び去るので,山頂で食べているのでしょうね。3月になると巣作りが始まるそうです。 

ミサゴ 1.30 江村岡 

立春の前日,冬と春の「季節を分ける」ことからこの日を節分と言います。季節の変わり目には鬼がでるといわれたことから,鬼退治のために「鬼は外福は内」と豆をまいたり,柊と鰯の頭を玄関に飾る慣わしが始まったようです。  

皆さん,「豆まき」 されましたか。  

アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会   
坂谷知子