元宇品のセトウチマイマイ

雨上がりに元宇品を歩くと、一心不乱にキノコを食べているマイマイ(カタツムリ)を見つけました。セトウチマイマイです。森の樹の上で暮らしますが、この日は地表でキノコを見つけたようです。九州東部、中国、四国地方の固有種で、名前のとおり瀬戸内海を囲むように分布します。

キノコを食べるマイマイ 2021.9.18

マイマイは陸上進出した巻き貝で肺呼吸をする『有肺類』です。

湿気を好むマイマイですが、晴れた昼間でも樹上で殻に膜を張って乾燥から耐えている姿が見られます。木の葉や落ち葉を食べますが、コケやキノコも好物です。殻を作るために必要なカルシウム摂取のためにコンクリートも食べます。雨上がりには活発に活動している姿を日中でも見ることができます。

図鑑にはこのような数字の表記があります。

学研生物図鑑 貝 Ⅱ によると、セトウチマイマイの説明は

樹上性。ハリママイマイに似ているが、殻表には成長脈が顕著でなく平滑である。火炎彩があらわれたりして色帯の変異が多いが、ふつうはコガネマイマイ模様「1234」型、セラマイマイ模様「0204」型、無帯「0000」型がみられる。

「1234」?「0204」?・・・

4桁の数字は『色帯記号』で貝殻の模様を表しています。マイマイ属は、貝殻の表面に水平方向最大4本の色帯が入ります。この色帯は上から上周縁帯(じょうしゅうえんたい),周縁帯(しゅうえんたい),底帯(ていたい),臍帯(せいたい)と呼ばれ順に1-4の番号が振られます。

「1234」型は4本の帯、「0204」型は貝殻の上から2番目と4番目(へその部分)に色の濃い帯がある、「0000」型は濃い帯が無い、ということを表しています。このマイマイは1200型

色帯が不明瞭な場合や隣同士が同一化している場合は()を用いて「(1)234」「02(34)」のように表わします。ただ、殻の模様による種の判別は絶対ではないので参考にとどめましょう。

「火炎彩」というのは、巻きの垂直方向に縞模様が入るのを炎にたとえて言います。トラマイマイはこの模様がよく出るので、「トラマイマイ模様」と言われたりもします。

↑ 火炎彩が顕著なセトウチマイマイ

よく見ると色帯の上に火炎彩

元宇品のセトウチマイマイは色や模様が変化に富んでいるので、観察すると楽しいです。

アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
副代表 畑 久美

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