海辺の出会い 【ツノナガコブシ】

宇品東小3年生の元宇品自然観察が2021年9月24日に行われました。森の小径から車道を通り宇品灯台から海岸に降りてきました。

生徒さんが並んだのは海岸遊歩道、波打ち際からは随分離れています。ふと足元の貝殻が積もったあたりに視線をやると…何か丸いものが目に飛び込んで来ました。拾い上げると…

これは、コブシガニの仲間…以前コラムで『甲殻機動隊』として扱ったマメコブシガニとよく似ています。コブシガニはその甲羅が人の拳(こぶし)のように丸いことが名前の由来となりました。

さて、拾ったこのカニは甲羅の前方が少し突き出して見えます。ハサミ脚の付け根には縁が赤い白いつぶつぶがあり、歩脚も赤白のしましま模様です。中々にきれいなカニです。

ああ、これはツノナガコブシ…

よく見ると眼が分かります

ツノナガコブシ コブシガニ科
甲幅2.5㎝ 分布:東京湾以南/秋田県
水深20~80mの海底に棲むコブシガニ。甲羅の中央前部が細く前に付き出ていて、先端の両脇に小さな眼があるのが分かります。甲羅は陶器のようになめらかで、並んだ白い紋があります。ハサミ脚の爪先は白く、付け根には赤い縁のある白い顆粒が盛り上がり、歩脚は赤と白の縞々模様で目立ちます。

オスのようです

ツノナガコブシは普段水深20~80mの砂地の海底に居るはず、それなのにどうしてこんなところにいるのでしょう。…ああそうだ、秋の大潮だったんだ。大潮とは新月や満月の前後数日間の潮の干満の差が大きいことをいいます。秋の大潮の満潮時は1年のうちで最も潮位が高くなります。9月22日は中秋の名月でした。ツノナガコブシはこの満潮時の寄せ波に乗って砂浜の奥まで打ち上げられたのではないか…その後の引き波に乗れず、取り残されてしまったのではないでしょうか。

アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
副代表 畑 久美

前の記事

木斛一本,指一本

次の記事

謡曲「定家」広島弁訳