麗しのキュビエ『動物界』より 其の3

今回はブンブクという海の生物を紹介します。ブンブクチャガマという和名のブンブクもおり、昔話の「ぶんぶく茶釜」から付けられたとか…生きたブンブクは毛むくじゃらに見え、その姿が狸が化けた茶釜に似ていたのでしょうか…。

ネコの餌を狙ってタヌキが出てきました。(元宇品 2012.11.18)

ブンブクはウニの仲間で、一般的な丸いウニが『正形ウニ』と呼ばれる一方で、ブンブクたちは『不正形ウニ』と呼ばれます。

ブンブク

ここにはブンブクの解剖図と生殖孔付近が緻密に描かれています。ブンブクの口は体の下面中心部にあり,消化管は反時計回りに身体の中を一周し、その後折り返し、体の後方にある肛門へとつながっています。生殖孔は4つで名前を決める手掛かりになります。

一般的なウニと違ってブンブクは砂にもぐって生活しています。ブンブクは海底のブルドーザーとも言われ、毛のような棘を動かして海底の堆積物を強力に撹拌します。

これはオカメブンブク。「おかめ」とは古くからある日本のお面のひとつで「お多福」とも言われます。生きているときは茶色がかっていますが、海岸に打ち上げられた骨格は白っぽく「おかめ」のお面を思わせます。骨格は薄くて壊れやすく卵の殻のようです。無数の長い針状のとげが出ていますが,体の下面から出ているとげの先端はスプーン状に広がっていて砂をかきやすくなっています。

とげの先端がスプーンのようになっています

元宇品で見られるウニはバフンウニ、ムラサキウニ、サンショウウニ。江田島まで行くと不正形ウニである「カシパン」や「ブンブクが」見られます。

近年ではウニの骨格に注目したこのような美しい図鑑も出版されています。

ウニハンドブック

アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
副代表 畑 久美