松ぼっくりがあったとさ

 

童謡「松ぼっくり」広田孝夫さんの詩によると「高いお山にあった松ぼっくりをお猿が拾ってたべた。」らしいのです。え?松ぼっくりって果実なのかしら? 

ニホンザルの松の実食い

春になるとマツは花を咲かせます。 

新しい雌花(てっぺん),雄花(真ん中),その下に前年受粉してできた松ぼっくりが見えます。 
その下には2年前に受粉した松ぼっくりが茶色く傘を開いています。

雌花
雄花と前年の松ぼっくり

マツの花は雌雄同株で,雄花の鱗片には,花粉嚢(かふんのう) ,雌花の鱗片には種子になる胚珠(はいしゅ)が付いています。 受粉後これらが更に成長して成熟したものになります。松ぼっくりは二年がかりで出来るのです。

被子植物は,花の構造として雌しべの基部に子房があり、子房の中には胚珠があります。受粉後に胚珠が発達して種子になり、子房が果実になります。 

マツなどの裸子植物は,その名の通り子房(果実部)は無く種子が裸の状態になっているとされていますが,実際のマツの種子は、種皮が変化して鱗片状になり,被子植物の果実と遜色ない状態です。松ぼっくりは,正式名称にはマツの球果(毬果)と呼ばれます。 

松ぼっくりと種子
発芽

本来は種子が晴天の日に翼に風を受け,松ぼっくりを離れて地上に落ちて発芽するのです。お猿は松ぼっくりをかじって中の種を食用としていると思われますが,かみ砕いていると糞に出てこない可能性もありますね。 

元宇品でもマツの花は目の前で観察できます。お散歩しながら探してみましょう。 

アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会  

和子