宇品島の歳時記(穀雨)
田畑の準備が整い、それに合わせて春の雨の降るころ。
こよみ便覧(べんらん)では「春雨降りて百穀を生化すればなり」
葭始生(あし はじめて しょうず) 4月20日〜4月24日
水辺の葭が芽吹き,山や野の植物が緑一色に輝き始める頃。
アシは元宇品では見ることができません。似た植物であるダンチクは広島の島しょ部の海岸線ではよく群生していますが,これも元宇品では観察されません。この時期に宇品島でバンバン生じるイネ科の植物と言えばタケノコです。 山のフジが見事です。
ビワの木の新芽にモモチョッキリを見つけました。
新芽は先端がしおれたように垂れ下がっています。チョッキリに卵を産み付けられたのでしょうか。江村岡の段々畑は,戦後たくさんのビワの木が植えられビワ畑になっていました。北部の山にビワの木が多く自生するのはそのためだと思います。
霜止出苗(しもやんで なえいづる)4月25日~4月29日
暖かくなり,霜も降らなくなり苗がすくすくと育つ頃。
初夏の直前のこの時期は,田畑の準備時期です。苗を準備して植え付けの作業が始まります。 ジャガイモもすくすくと育ち花が咲きました。待ってましたとばかり,ナス科の植物が大好きなニジュウヤホシテントウが攻撃をかけています。
腐葉土の積み替え作業をしていると,中から脱皮したばかりの白いハサミムシが出てきました。
ご近所の方からメバルとチヌをいただきました。
牡丹華(ぼたん はなさく) 4月30日~5月4日
百花の王である牡丹が開花し始める頃。
今年もボタン,シャクヤク,ジャーマンアイリスが見事な花を開き,楽しませていただきました。
5月1日は大潮で西海岸では潮干狩りを楽しむ人もいました。
我が家では毎年ハ十八夜の頃にサツマイモの苗を植え付けます。昨年は超凶作で悲しい思いをしました。今年こそは,すくすく育ちます様に。去年アオバズクの鳴き声に感動したのですが,今年は山のオカリナ吹き「アオバト」の鳴き声を聴きました。「アオアオアー」と鳴いています。
アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
坂谷知子