宇品島の歳時記【霜月 ドングリ】 

霜月も中旬を迎えるとハゼノキが美しく紅葉します。 

この時期に宇品島の森を歩くと道端には落下したドングリを見かけます。ドングリとはブナ科の植物になる果実の俗称です。 

最も多いのはアラカシの実(堅果)です。アラカシの実は小さくて丸く,シマシマのパンツ(殻斗)が特徴です。同じアラカシでも実の形が大ぶりな物も見かけます。 

アラカシの木
アラカシの実 11.19
アラカシの実 11.19

同じカシの仲間であるウバメガシとシラカシは元宇品港公園付近で観られます。いずれも島の自生種ではなく植栽されたものです。 

ウバメガシ 11.6
シラカシ 11.6

ウバメガシの実は長細くて形は左右対称ではなく不揃いでウロコ型パンツです。 
シラカシの実はアラカシの実に似ていて深いおわん型のシマシマ型パンツです。 

宇品島では小さな椎と言う意味からかコジイと呼ばれるツブラジイの実は,色が黒褐色でアラカシよりも小さくて丸くコロコロしています。年配の方は親しみを込めて「シイドン(椎のドングリの略称)」と呼んでいたそうです。パンツは木にあるときは実をスッポリと包んでいますが,落下する時は裂けてチューリップ型になります。 

ツブラジイの木 11.19
ツブラジイの実 11.19
ツブラジイの実 11.19

カシやシイの仲間に先駆けて落ちてしまっているドングリはアベマキとクヌギでしょう。どちらも大きくて丸い形。9月から落ちてしまうので霜月にはあまり見かけません。「どんぐり ころころ どんぶりこ♫」落下時期には坂道をコロコロと転がって落ちて来るのでとてもかわいいです。分厚いトゲトゲパンツが特徴です。 

アベマキとクヌギの実はそっくりで見分けるのは難しいです。宇品島ではほとんどがアベマキでクヌギの木はわずかしか無いのでその実を探すのは大変です。 

アベマキ 11.19
アベマキの葉と実
クヌギの葉
クヌギの葉と実

同じころ落ちる実が宇品島最大のドングリ,クリです。 針のようなトゲトゲパンツを持つのが特徴です。 

クリの木
栗の幹
栗の葉と実

少し遅れて落ち始めるのが,コナラの実です。すらっと細長い実で,ウロコ型パンツです。最近では樹木の本数が少なくなったのか,どんぐりの数が減ったように思います。 

コナラの幹
コナラの葉と実

宇品島のドングリの実にも色々と個性があり,交配種も確認されているようです。山を歩きながら色々と楽しんでみてくださいね。 

お散歩工作【Acorn bracelet】【Acorn whistle】

アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会    
坂谷知子