海辺の出会い【甲殻機動隊】

海辺の人気者は何といっても『カニ』でしょう。
海岸の石を持ち上げてみましょう。たくさんのカニがいっせいに逃げ出して、子どもたちは歓声をあげながら追いかけます。石の下、海藻の陰、砂に伏せたり、素早い横歩きで逃げ出します。

カニはどうして横に歩くの?
カニは、2本のハサミ脚と8本の歩脚を持った十脚目の甲殻類です。体の両側に密接して並んでいる歩脚は前後に動かすとぶつかってしまいます。そのため脚を可動域の大きい横方向に動かして横歩きをするようになりました。

横歩きのカニの脚の付け根の関節です。

横方向に大きく動きます。

ところが見事な縦歩きをするカニもいるのです。
マメコブシガニです。

マメコブシガニ 甲幅約1.6㎝ 2020.5.23撮影(広島市中区本川河口干潟)

どうして縦に歩けるの?
脚の付け根の関節を見てください。

玩具ブロックの「ボールジョイント」

脚の付け根の関節がボールを包み込みような形、言わば「ボールジョイント」のようになっています。球状になった関節で脚を前後に動かせるのです。
マメコブシガニは丸い可愛らしい姿をしていますが、状況に応じて前進したり、後退したり、水の流れに乗って転がったり、砂に潜るのも得意です。敵に出会うと脚を縮めて死んだふりもします。なんという機動力でしょう。
マメコブシガニは元宇品でも見つかることがありますが、初夏に広島湾周辺の河口干潟を訪れると大抵出会うことができます。

(お願い)ひっくり返した石にはたくさんの生き物が付着しています、観察が終わったら石を元に戻してあげて下さいね。

アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
副代表 畑 久美

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