海辺の生き物【ヨロイイソギンチャクとベリルイソギンチャク 】
磯遊びが楽しい季節がやって来ました。
潮が引くとたくさんの生き物に出会うことが出来ます。
岩の割れ目に沿って何か見えますか?
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これはイソギンチャク。水の中ではゆらゆらと触手を伸ばしているのですが、潮が引いた岩場では体を縮めて乾燥に耐えています。潮が引いても岩の割れ目には海水があるのでイソギンチャクたちの棲み処になっているのでしょう。元宇品の磯では数種類のイソギンチャクが観察できます。
【ヨロイイソギンチャク(ウメボシイソギンチャク科)】
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潮間帯の岩の割れ目にたくさん見られます。体壁に吸着イボがあり砂や貝殻のかけらを多数くっ付けて、その姿が鎧を身に着けているように見えたのでその名前があります。
縮むと砂や貝殻をまぶした様に見えます。ヨロイイソギンチャクにはクローン集団があり、異なるクローンのイソギンチャクどうしは縄張り争いをします。その際、体壁上部にある周辺球を膨らませライバルにのしかかり、周辺球から大量の刺胞を発射し相手を攻撃します。
【ベリルイソギンチャク】
ヨロイイソギンチャクとよく似ています。ベリルイソギンチャクの吸着イボは吸着力が弱いので体壁にはほとんど砂や貝殻は付いていません。
また、色変わりが多く真っ青な個体や赤っぽい個体なども見られます。以前より、なぜ「ベリル」と言われるのか気になっていますが未だ分かりません。
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ベリルとヨロイとの違いについて「ベリルは、触手に斑紋が入らないこと、口のまわりが赤茶色に染まること、体壁に石や砂粒がほとんどつかないことなどで見分けられる。」とも言われますが、元宇品のヨロイイソギンチャク(と思われる種)の触手に斑紋はほとんど見られません。専門家にお尋ねしたら、斑紋の有無で見分けは出来ません、とのこと。ただ、触手の付け根の内側にある周辺球が、ヨロイは白く、ベリルは黒っぽい傾向がありますよ、とのことでした。
イソギンチャクについては分類学上、腔腸動物から現在では刺胞動物に変わり、また日本産種の学名や名前を巡り分類学上の混乱があるようです。これらのイソギンチャクについては極々普通種ですが、謎が多く分類等詳細が今後変わって行くと思われます。
参考
イソギンチャクガイドブック 内田紘臣/楚山勇 TBSブリタニカ
大柿町の海辺の生き物 広島県大柿町
イソギンチャク類の分類学的研究 (chiba-muse.or.jp) 千葉県立中央博物館 分館海の博物館 研究員 柳 研介
イソギンチャクを観察しよう 千葉県立中央博物館
アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
副代表 畑 久美