宇品島の歳時記(啓蟄)
こよみ便覧(べんらん)では「陽気地中にうごき,ちぢまる虫,穴をひらき出ればなり」
蟄虫啓戸(すごもり むし とをひらく)3月5日~3月9日
冬の間、土の中で眠っていた虫や冬眠していた生き物たちが目覚め,地上に出てくるころ。
虫とはいいますが,冬眠から目覚め始めるすべての生き物のことを表しています。
葉の裏で冬眠していたテントウムシが陽気に誘われ出てきました。
クスノキは古い葉が落ちて,新しい葉が芽吹いてきました。
コゲラのドラミングが始まり,谷にこだまします。餌をおびき出しているのでしょうか,巣作りでしょうか?
桃始笑(もも はじめてさく) 3月10日~3月14日
桃のつぽみが開き,花が咲き始める頃。
昔は咲く様子を”笑う” と表現したそうです。ゆっくりと開いていく桃の花は,ほほ笑んでいるようにも見えます。
数年前まで元宇品でも立派なモモノキを見かけましたが,すべて伐採されてしまいました。
3月12日は中学校の卒業式でした。中学校の卒業時期に春の香りを届けるのが沈丁花です。
観音寺の広島ツバキは3月に入っても寒い日が続いたためか開花が例年よりも少し遅くなりました。
菜虫化出菜(なむし ちょうとなる) 3月15日~3月19日
厳しい冬を越したさなぎが羽化し美しい蝶へと生まれ変わり羽ばたく頃
「菜虫」とは大根や蕪などのアブラナ科の葉につく青虫のことをいいます。蝶の仲間ではモンキチョウが真っ先に飛び交っていました。
「ミモザの咲く頃」とよく聞かれますが,この季節を代表する花なのでしょうね。 野山を眺めると黄色い花が多く目につきます。
春の「~の花咲く頃」といえばスミレですよね。展望台から海に下る道沿いに可愛いスミレを見つけました。宇品島はすっかり春です。
アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
坂谷知子