♬ ぼくらはみんな生きている ❷ ♬

   - カミキリムシの話 -
元宇品の海沿いの道にはノジギクが自生していて,毎年白い小菊がこぼれるように咲き秋の訪れを教えてくれます。そのノジギクに,春から初夏にかけ異変が起こるのです。

やわらかな新芽が生え揃ったばかりのノジギクの中に、まるで暑さで水枯れしたようにしおれた新芽が見られます。

葉っぱの影にいたのは、ノジギクをしおれさせた張本人、キクスイカミキリです。

1センチメートルにも満たないムシですが、黒い体、胸部に赤い紋、体長と同じくらい長い触角、小さくても立派なカミキリムシです。

キク科の植物を食草とするキクスイカミキリは花芽のできる大事な新芽をしおれさせるのですから,菊の栽培者からは害虫と言われます。

左側のオスはメスを見つけ近づこうとしていたのですが,ほかの場所から別のオスが飛んで来て,先をこされてしまいました。メスは交尾の後に産卵します。

しおれたノジギクを拡大して見てみると,茎のまわりをぐるっと一周するかみ傷が,上下に2か所あります。その間にある穴が産卵痕です。

ふ化した幼虫は茎の中を下へ食べ進んで成長し,地下部の茎の中で蛹になり羽化します。成虫はノジギクが新芽を伸ばし始める春まで茎の中で越冬します。

キクスイカミキリは,ノジギクにとってちょっと迷惑な存在のようですが,しばらくすると枯れてしまったノジギクの株元からは,新しいわき芽が伸び始めてきます。
”ノジギク強し”です。

やなせたかしの歌ではないけれど,♫ムシだって 植物だって みんなみんな 生きているんだ ともだちなんだ ♪

アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
Y.S