森のあまのじゃく

島の畑といえば段々畑が主流ですが,水源のない山の中腹で耕作するためには雨水に頼るため,水溜めを作ることになります。水のない場所にたまり水が生じるので,森の生き物には格好の水場になり,様々な生き物が卵を産み付けます。 

毎年,梅雨時期にはニホンアマガエルのおたまじゃくしが登場します。 

カエルは水辺に棲むイメージがありますが,元宇品で育ったアマガエルは森の中に生息しています。冬は山中で冬眠し,春になるとカエルの声が島の北部東斜面にこだまします。 

ジャガイモの葉に乗った二ホンアマガエル  2021.5.8 撮影

この鳴き声は「広告音」と呼ばれ,オスがメスに自分の存在を知らせるためのものです。カエルは一般的に繁殖期の夜に鳴きますが,アマガエルは「雨蛙」と書くように,雨が降りそうになると昼間でも鳴くのが特徴です。降雨前の湿度や低気圧に反応して鳴くのではないかと言われていますが,はっきりとしたことはまだ分かっていません。 

アマガエルがなぜ鳴くかについては,日本各地に昔話で「雨蛙不孝」というお話が伝わっているので紹介しますね。 

むかしむかしある所にアマガエルの親子がすんでいた。しかし子ガエルは大変なヘソ曲がりで,親ガエルの言いつけと反対のことばかりやっていた。いよいよ親ガエルが死ぬという時に,親ガエルは(墓が流されないように、山の上に墓を作ってもらいたい。しかしこいつは言いつけと反対のことをするから…)と考え,「墓は川のそばに建ててくれ。」と言い残し死んだ。ところが子ガエルはこの時になって反省し,「遺言は守らなければならん」と,本当に川のそばに墓を建ててしまった。そのため雨が降りそうになると「親の墓が流される」と泣くのだという。
『アマガエルのヒミツ』秋山 幸也 山と溪谷社,2004年3月より 

元宇品に河川はないのですが,花崗岩土質の宇品島では大雨が降ると山でも地滑りがたびたび起きるので,アマガエルもお墓が流されると大声で鳴くのかもしれないですね。 

アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会 
坂谷知子 

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