元宇品の戦争遺構と春の森
2022年4月16日(土)10:00~12:00 参加者9名、ガイド2名
今日は南区の企業様から依頼された観察会のガイドを実施しました。
コースは、元宇品港公園 → グランドプリンスホテル前 → 車道 → カゴノキ →高射砲陣地跡 → 小径 → 杉の谷 → 海岸遊歩道 → グランドプリンスホテルで,肌寒くざわざわと風の吹くスタートでした。
元宇品は常緑照葉樹の森でそのモコモコとした山なみが特徴です。その陽光に輝く木々の梢が、強風が吹くたびに生き物のように動き、思わず声が上がりました。
紫色の可愛い花が咲いていました。「これは別名、地獄の釜の蓋と言われるキランソウです」ガイドさんが説明すると、その可憐な見かけとはかけ離れた呼び名に一同驚きです。
島の稜線に通された車道に上がりました。谷底から生えている大木の枝の広がりを間近で見ることができます。鹿の子模様や迷彩模様とも表現されるカゴノキの前でその美しい樹皮を観察しました。
赤とんぼ広場に到着。ここは先の大戦で高射砲陣地が構築された場所です。宇品島には北部、中部、南部と3か所の高射砲関連施設がありました。赤とんぼ広場には終戦時に6基の高射砲があり、その遺構が今も残っています。砲側弾薬庫や砲座の一部、高射砲を取り付けていたボルト跡等に興味津々です。
森の小径に入りました。森の中は薄暗く、原生林の面影があります。今は春の落葉の季節、風が吹くたびにクスノキがはらはらと葉を落としていました。
この季節に特に見ていただきたいのが『ウラシマソウ』です。鳥の足のように広がる葉を持ち、性転換すること、雄株と雌株がありキノコバエが関わっていること、有毒な果実のことなど詳しく説明を受けました。釣り人が釣り糸を垂れているような姿が面白かったですね。
海岸遊歩道に降りるとぽかぽかと暖かく、春の海と似島がきれいでした。打ち上げられた海藻にはワレカラがくっついていました。
ゆっくりと遊歩道を歩きながら、海食崖や節理、正断層等珍しい地質を観察しホテルに到着しました。
アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
副代表 畑 久美