麗しのキュビエ『動物界』より 其の1

ある日私は広島三越の催事場をぶらぶらと歩いておりました。アンティーク小物の物色に来たのです。その一角で美しいスケッチに目を奪われてしまいました。古書の1頁が1枚ずつ透明フィルムに入りそれなりの値段が付いています。「あぁ、キュビエだ…」キュビエの著した『動物界』はその緻密な美しさから生物図鑑の最高傑作といわれています。点刻銅板に手彩色が施され、その美しさと言ったら…「ほ、欲しい…」お小遣いを総動員して数枚の図譜を購入しました。

表題は『ポリプ』で刺胞動物が取り上げられています。クラゲやサンゴ、イソギンチャクなどの刺胞生物の形態は2つあり、一つはクラゲ型、もう一つがポリプ型です。生活史の中で両者が現れるものもあります。ポリプ型の形態は、体が管状で上端に口が開き…つまり細長く柔らかいコップのような体で、コップの口周辺に触手が生えており、この触手の刺胞毒で獲物を麻痺させて捕らえます。 

元宇品の海岸では潮が引いた岩場でたくさんのイソギンチャクが観られます。また、砂浜にクラゲやサンゴの骨格が打ち上げられていることもあります。

ミドリイソギンチャク

【ミドリイソギンチャク】元宇品でも良く潮が引いた岩場で見つかります。体壁に緑色の吸着イボが並び薄桃色(薄黄緑も)の触手が美しいイソギンチャクです。雄と雌があり有性生殖で増えます。

ヒメイソギンチャク
ヒメイソギンチャク

【ヒメイソギンチャク】2017年に元宇品で大発生しました。有性生殖もしますが縦分裂で無性的に増え、同じクローンを持つ大きな集団も現れます。

アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
副代表 畑 久美