宇品島の歳時記(立秋)
こよみ便覧(べんらん)では 「初めて秋の気立つがゆゑなれば也」 毎日暑い日が続きますが,立秋から季節のあいさつも残暑見舞いに変わります。お盆明けには秋の気配が感じられます。
涼風至 (すずかぜ いたる) 8月7日〜8月11日
夏の暑い風から、秋の涼しい風に替わりはじめる頃。
アサガオと言えば,小学1年生の夏休みの宿題のイメージが強いので夏を連想する方も多いと思いますが,俳句では秋の季語になります。
朝顔やつるべ取られてもらひ水(加賀千代女)
一般的なアサガオの花の色は,赤,紫,青の3色ですが,朝に青く咲いた花が夕方には赤く変わっています。どうして一本の蔓から異なる色が現れるのでしょうか?不思議です。
オタマジャクシを観察して気が付いたことがあります。手足が伸びてくると水から出てきますが,しっぽは長いままです。しっぽはどうなると思いますか?カエルになったオタマジャクシのしっぽは切れて落ちるのではなく,1日の間で徐々に短くなって無くなるのでした。
寒蝉鳴 (ひぐらし なく) 8月12日〜8月16日
夏の終わりを告げるかのように、ヒグラシが鳴く頃。
ヒグラシは涼しい環境が好きなセミで,県南部では鳴き声を聴くことが珍しいです。ところが今年は元宇品でも鳴き声を聴くことができました。
元宇品ではお盆の時期に盆踊り大会が開催されていました。近年はグランドプリンスホテル広島で行われていましたが,新型コロナ感染予防のため3年間中止になっています。今年は宇品みなと公園で盆ダンスが開催され,町内の方も参加されました。
お盆と言えば安芸門徒のお墓には盆灯籠が付きものでしたが,元宇品の墓地でも禁止になったところが多く木製の墓参札を供えるようになりました。
元宇品小学校の周囲では,数匹の黒と黄色のヤンマガ飛び交っていました。
蒙霧升降 (ふかき きりまとう) 8月17日〜8月22日
森や水辺に白く深い霧がたちこめる頃。
霧は,海水温度が低いところに,暖かく湿った空気が流れ込み,その空気が海水に熱を奪われ冷やされることにより,空気中に含まれていた水蒸気が霧となって見えてくるものです。
海水は、暖まりにくく,気温より2ヶ月ほど遅れて上昇するため,広島湾では,3月から7月に気温が水温より高くなり、この時期に霧が発生しやすくなります。
7月に元気よく飛んでいたタマムシですが,お盆を過ぎると道端で息絶えている姿をよく見かけます。このタマムシの美しい色は構造色と呼ばれるもので、光の加減で見え方が変わることが特徴です。人間の目には、目立っているようにも見えますが、捕食者から身を守る効果もあると考えられています。
畑などに鳥よけでキラキラ光るディスクなどを吊り下げていたりしますよね。
その畑ではバッタたちが元気よく飛び回っています。夜には虫の音もよく聞かれるようになりました。
カラスウリの白い花が咲いていました。
畑の嫌われもの,ヤマノイモの花を見かけました。いつもは見つけると抜いてしまうので花を見ることがありません。放っておくと自然薯になるのかしら?
アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
坂谷知子