宇品島の歳時記【霜月 ムベ】

 霜月も終わり頃になるとイロハモミジも綺麗に紅葉しています。 

この頃宇品島では落ちてるムベの実をあちらこちらで見かけます。 

宇品島ではこのムベの実を「アケビ」と呼んで,おやつ代わりによく口にされた果実です。 

この時期,宇品島へ入るとたくさんの落ち葉でフカフカしています。 

すぐに目にとまるのが楕円形の5枚葉のムベです。若木では3枚葉も見られます。 

葉は厚く堅いです。表面は濃緑色で光沢があり、裏面は淡緑色なので葉脈の網目模様がよく見えます。 

ムベの葉(5枚)
ムベの葉(3枚)
ムベの葉(裏)

ムベとはアケビ科の蔓性の木で,冬になるとアケビの葉は落葉しますが,ムベは葉が茂ったままなので別名「トキワ(常葉)アケビ」とも呼ばれ,常緑性のアケビです。 

ムベの果実は長さ5〜8センチでアケビに似ており,10〜11月になると紫色に熟し落ちます。 

ムベの実は種子が多くて食べるところが少ないため,現代人にとっては魅力に乏しい果実ですが,果肉は甘いそうです。大昔は貴重な山の幸であり,砂糖が輸入される前は代表的な甘味料として朝廷に献上されることもあったようです。 

ムベの名前の由来 
天智天皇が近江に出かけた折,長寿の老夫婦に出会いました。「何故そのように長寿なのか」と尋ねたところ「不老長寿のこの果物を食べているからです」と答えてムベの実を差し出しました。これを賞味した天皇が感心して「むべなるかな」と言ったことからこう呼ばれ始めたという説があります。 

長生きができるのなら私も食べてみようかしら。(見た目はにがてだけど・・・) 

アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会    
坂谷知子