海辺の生き物【ウサギとカイ】
明けましておめでとうございます。令和5年は癸卯、みずのと・うさぎ年と言うことで、
年頭よりウサギの話題が数多く取り上げられていました。
今回は『ウサギとカメ』ならぬ『ウサギとカイ』、ご紹介するのは『ウミウサギ』と言う真っ白い陶器で出来たような美しい貝殻を持つ貝です。
純白の貝殻が白うさぎを思わせるところからこの名前があります。学生の頃ダイビングをしていた私は、高知県の沖ノ島周辺でこの貝を良く見ていました。水深5~8m程の珊瑚礁、大抵ソフトコーラルの上で食事をしています。何より驚くのはその真っ黒な生態形です。ウミウサギの貝殻は、小さな白い星が飛ぶ真っ黒い外套膜に覆われていてその白い貝殻は分かりません。
海中では「白い貝を求めて黒い貝をさがす」という禅問答のような探索です。
八放サンゴ類(刺胞動物)のポリプを食べるウミウサギ
ウミウサギ科の貝殻はタカラガイ科の貝殻に似ています。違いは縦長の殻口部のギザギザ(歯)です。
左:ウミウサギ(ウミウサギ科)右;カフスボタンガイ(ウミウサギ科)
ウミウサギ科の貝殻にはギザギザの歯がありません。
左:ホシキヌタ(タカラガイ科) 右:ハナマルユキ(タカラガイ科)
タカラガイには殻口部の左右にノコギリの歯のようなギザギザがあります。
両者とも巻き貝の仲間で、幼貝の時には頭頂部に巻き貝の螺旋が認められます。私は元宇品で両者を確認したことはありませんが、瀬戸内海に進出しているメダカラ(タカラガイ科)は、大柿町で採集されています。
背中の斑点を眼に見立ててこの名前があります。潮間帯の岩礁に棲みます。
アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
副代表 畑 久美