宇品島の歳時記【睦月 ニホンスイセン】
冬の厳しい寒さの中で咲く姿から、ニホンスイセンは「雪中花」とも呼ばれます。
宇品島でも12月頃よりあちこちで見ることができます。
観音寺の崖は一面クズの葉で覆われていましたが,クズが刈り取られた後にはニホンスイセンが現れました。このような人が立ち入ることの難しい急な斜面に、誰が球根を植えたのだろうと不思議に思っていました。
道路縁のコンクリートの隙間からも葉を伸ばし花を咲かせています。
スイセンは一般的に球根が分球して増えていくイメージですし,園芸でも実生で育てることはしません。写真のような増え方をするということは種で育つこともあるのでしょうか。
スイセンには茎や球根、葉などに毒があるため,食すると中毒を起こします。毎年ニラと間違えて食べたというニュースを見かけますね。ただ,ニラとスイセンの葉の匂いはかなり異なると思うのですが,宇品島江村岡の畑にも群生しているので,種で育つのであれば混合するおそれもあり,注意しないといけません。
そんなちょっと恐ろしいニホンスイセンですが,香りが強い品種です。香りの主成分ナルシサスには、抗酸化効果とメラニン生成抑制効果を持つものがあり、またナルシサスの香り全体にストレス軽減効果があると言われています。開花時期には室内に活けて素敵な香り空間が広がるのを楽しみ癒されています。
癒しと中毒,天国と地獄のようなちがいです。
アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
坂谷知子