海辺の生き物【フクレユキミノガイ】 

5月5日のこどもの日。地球さんぽは午前中の雨で中止となってしまいました。 

干潮が15:38、潮位25㎝と海の生き物観察には絶好の機会でしたが残念…数名のガイドさんと一緒に磯を歩きました。普段は見られない沖合の岩礁もてっぺんをのぞかせています。 

大潮の干潮を迎えて普段は見ることのできない低潮線周辺が現れています。潮だまりを覗いていると、丸っこい小石のようなものが見えました。何気なく水中に手を入れると…小石がぴょんぴょんと跳ねたのです。いや、正確に言うと…小石と見えたのは貝で、それはアサリのような二枚貝が小さなイソギンチャクを挟んでいるような恰好で、それが貝殻を開けたり閉めたりしながら水中を跳ね動いている…という感じです。動きはホタテ貝が殻をパクパク動かして敵から逃げようとしている姿に似ていました。 

「貝?…貝だよね!」捕まえて容器に入れました。貝を採る、とか貝を掘るとか言いますが「貝を捕る」だなんて…。 

イソギンチャクのように見えたのは触手のような外套膜でした。うわぁ、これだから生きた貝は面白いんだよねぇ…貝殻を拾っただけではこの感動は在りません。 

貝の名前はいくつか思いつきましたが、持って帰って調べることにしました。 

元宇品2023.5.5
元宇品2023.5.5

 

殻高2.0㎝。貝殻が薄いので、貝の体が透けて赤い部分や黒い部分が見えます。 
殻の膨らみは強い。海で見たとき、貝の体もはみ出して見え、お菓子のビスコがパクパクしているように思えたほどです。(ウスユキノミガイの殻はさらに薄く、膨らみも弱い) 
放射肋は細くて多数あり(ユキミノガイの放射肋は粗い)、触手状の外套膜の色は半透明のごく薄い朱鷺色です。(ユキミノガイは鮮やかなオレンジ色) 
潮間帯下の砂地に棲息するミノガイ科のフクレユキミノガイと思われます。

入水と出水で外套膜がひらひらしています。こちらは貝の体の後ろ側になります。 
外套膜がひらひらしているのを可愛いなぁと眺めていましたが、弱らないうちに夜の海に返しに行きました。

                           
参考 学研生物図鑑 貝Ⅱ                 
大柿町の海辺の生き物 広島県大柿町         
くらべてわかる貝殻 黒住耐二、大作晃一 山と渓谷社 

アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
副代表 畑 久美

前の記事

宇品山・樹木名板の謎