何故こんなところにカラスビシャク 

8月の「地球さんぽ」で中の谷を観察していると,中の谷の入口あたりの壁の隙間からカラスビシャクが一本だけ生えているのを発見しました。私は、十数年前中国山地を登山した時に,麓の小径を歩いていてカラスビシャクを見た事がありますが,それ以来永くその姿を見ていませんでした。 

私は「こんなところにカラスビシャクが生えていますよ。」と紹介したのですが,ゲストから「これは半夏と同じですか」と質問を受けました。どうなんだろう? 

その時は説明ができなかったので,帰宅して調べてみました。  

半夏とは中国、韓国、北朝鮮、日本に分布するカラスビシャク(サトイモ科多年草)の根茎の外皮を剥いで乾燥したもので、漢方でハンゲと呼ぶそうです。漢方薬として吐き気止め、産後うつ、胃腸炎に用いるそうです。 

カラスビシャクの花は仏炎苞でひものような付属体が上部に伸びるのが特徴です。開花期は初夏から夏(5ー8月)です。漢方の材料として薬屋にカラスビシャクの地下茎を売り、へそくりにした事からヘソクリとも呼ばれるそうです。 

カラスビシャクが生える7月2日頃は、半夏生(はんげしょうず)という七十二候の1つになっています。 

なお、ドクダミ科のハンゲショウ(カタシログサ)は、ちょうどこの時期に白い葉をつける事から名がついたとも言われています。 

アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
和子