元宇品のクモ【オナガグモ】

今年は例年になく暑い夏でしたが、夕方の風に秋の気配が感じられるようになりました。

すっかり暗くなった宇品島の稜線を急ぐと…。斜面をライトの明かりに照らすと何やら細長いものが空中を動いていきます。

「ん!?クモ…」オナガグモです!わぁ、動いているのは初めて見た~~上手く動画が撮れません。周辺を探すとあちらでもこちらでも夜になって活動を始めたオナガグモが見られました。

動画 2023.9.30

オナガグモは「クモを食べるクモ」として有名です。枝先に3~4本の粘性の無い糸を引いただけの網を掛け、その糸を伝ってくる別のクモを振動で察知して、後肢で粘球のある糸を投げかけて絡め取るということです。

体色には二型があり、緑色のものと褐色のものがあるということですが、ここでは両者が確認できました。

緑色の個体

褐色の個体

とにかく変わった体の形をしています。クモの糸を出すところである糸疣(しゆう・いといぼ)は大抵お尻にあるのですが、オナガグモはその糸疣(青い矢印)の後方が長く伸びて曲げ伸ばしが出来るようになっています。

矢印の先の突起が糸疣

脚を数えるとやはり8本あって、「やっぱりクモなんだな…」

オナガグモは糸の上で休んでいるときは、前脚を前方に伸ばし後脚を腹部にそろえ、一直線になりまるで楊枝が留まっているようです。

図鑑などによれば出現期は5~8月となっていますが、元宇品では10月後半でもその姿を見ることができました。

参考:「日本のクモ」 新海栄一、 文一総合出版

「フィールド図鑑クモ」新海栄一・高野伸二、東海大学出版会

          アース・ミュージアム元宇品 

              自然観察ガイドの会

                                                  副代表 畑 久美