ウラシマソウの芽

忙しい毎日が続いてようやく時間が取れた午後、宇品山に出かけました。

今日は3月3日の雛祭りですが、まだまだ寒い日が続いています。森の小径を灯台の方に歩いてみました。

これはまた…何かに食べられたのでしょう、葉が虫食いになっています。植物には可哀そうですが、目覚めたムシの食欲が嬉しくあちらこちらに目が行きます。

2月の雨は冷たかったけど宇品山にたっぷりと水分をくれたはずです。湿り気のある谷底の茂みや朽木を見ていると、うーん、これはキノコ?地衣類?変形菌?

こんな可愛いシダの芽も出ていました。

森をゆっくり歩いて南に向かいます。

上り下りを繰り返し谷に下りました。ここにはウラシマソウの赤いトウモロコシのような実(有毒)があって…ガイド仲間と来るたびに観察していました。あたりに赤いものは見当たりません。ウラシマソウ、春になったら現れるのかしら、としゃがんで目線を下げると…。

「えっ、あなたが赤ちゃん?」

滑らかな細いタケノコのようなウラシマソウの芽がありました。

辺りを調べると、芽の先端が裂けて葉茎が覗いているものや、ロウソクのようになったもの、さらに伸びて葉を開き始めているものもあります。

「うわぁ、面白い~~。こんなの想像していなかった!」膝をつき、顔を寄せてあちらから見たり、こちらから見たり…。きっと、あっという間に大きくなってしまうのでしょう。今日一番の収穫です。

群生地を後にして灯台園路に向かいました。ここでは随分大きさの違う発芽したウラシマソウがありました。太いウラシマソウの周りにひょろひょろのものが幾つかあります。うーん、か細い…だけどこれもウラシマソウに見えるなぁ…。

ウラシマソウは本州、四国を中心に分布するサトイモ科の球根植物(有毒です)で、土の中の芋から発芽します。秋に親芋の脇に小さな子芋を沢山つくって増えますから、太いウラシマソウは親芋から伸びて、周りのか細いウラシマソウは親芋にくっ付いている子芋から出ているのでは…と思いました。親芋は5年程度で枯れ、世代交代をするとか。

周辺にはしっかりと葉を開いたものもありました。

暖かくなると、あの釣り糸を垂れたユニークな姿を見せてくれるのでしょう。宇品山の春もすぐそこまで来ているんですね。

アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会

副代表 畑 久美