宇品島の歳時記【大雪】
こよみ便覧(べんらん)では 「冷ゆるが故に雨も雪となりてくだるがゆへ也 」
宇品島は瀬戸内海式気候ですが,他の瀬戸内よりは年間の降雨量は多めです。しかし,降雪量はより南に位置する廿日市や大竹よりは少なめです。今年も初雪の話題が良く聞かれた17日には薄っすら降雪があり,18日に氷が張っていました。
閉塞成冬 (そらさむく ふゆとなる) 12月7日~12月11日
空を塞ぐように厚い雲が広がり、本格的な冬がおとずれるころ。
本格的な冬と言うにはほど遠く,天気が良く暖かめな日が続きました。周囲の草原にはホトケノザが咲き誇っています。
春の七草のホトケノザとは、この花ではなく「コオニタビラコ」という植物のことです。
熊蟄穴 (くま あなにこもる) 12月12日~12月16日
熊が冬眠のために穴に隠れるころ
当然宇品島にはクマはいません,野生で観られるのは,イノシシ,タヌキ,イタチなどです。冬眠する地域もあるのでしょうが,宇品島では冬にも活動した形跡があるので,冬眠はしないと言われています。ところが,山の中には明らかに獣が住処にしていた穴があります。おそらくタヌキが寒さをしのぐため穴ごもりしたものと思われます。
テイカカズラの種が島中あちこちに飛んで落ちています。
中の谷で注意深く観察するとフユイチゴが赤い実をつけています。
今年はイヌビワとエノキの黄色い葉と山の緑のコントラストがより鮮やかでとても印象的です。
鱖魚群 (さけのうお むらがる) 12月17日~12月21日
鮭が群れとなって川を遡上するころ
サケは宇品島では見られません。同じように海に出て川に戻り産卵するサツキマス(アマゴ) やサクラマス(ヤマメ)はこの時期広島湾を回遊し始め,宇品でもルアーに掛かって釣り人を喜ばせます。
ドングリは一斉に葉を落とし,山中に落葉の絨毯を敷き詰めます。
この大量の落葉の下では多くの生物が集まり,分解が進み,より森が豊かになっていくのですね。
アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
坂谷知子