海辺の生き物【ミズヒキゴカイ】
元宇品の磯は、大きな岩、礫交じりの砂地、砂浜があり、そこに暮らす生物も様々です。
春から夏への元宇品、観察会で良く尋ねられるものがこちらです。
砂地にうごめく小さなニョロニョロ…
これはミズヒキゴカイです。
ゴカイの本体であるオレンジ色の柔らかい円筒状の体は砂に潜っており、その体節から生じる鰓糸を砂から出して海底の有機質を集めて食べています。頭部は尖っていて目はありません。
祝儀袋や贈り物に掛けられている紅白等の飾り紐を水引といいますが、この水引にゴカイの鰓糸が似ているのでこの名前があります。
桃色の鰓糸の動きを眺めているだけでも綺麗で面白く、しばらく見入ってしまいます。ミズヒキゴカイはかなり汚染されている環境でも棲息でき、しばしば海底で集団を作ります。
この仲間は外見より種類を見分けるのは難しく、ミズヒキゴカイとしました。ゴカイについては近年研究が進み、日本産の多毛類は今や1600種を超えるそうです。
参考
東京湾の動物たち 東邦大学理学部東京湾生態系研究センター
ゴカイのなかまを観察しよう 千葉県立中央博物館
千葉中央博研究報告特別号(J. Nat. Hist. Mus. Inst., Chiba Special Issue)(11): 47 – 53. March 2021
アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
副代表 畑 久美