エリマキツチグリとの出会い

先日アース・ミュージアム元宇品のガイドメンバーに元宇品の山中の道路の斜面にツチグリが見えますよ、と教えて頂きました。ホームページの『星形の湿度計』というコラムを読んで、ツチグリが星形になったところを是非見てみたいと思ったのです。

雨が上がった夕方近く、山中の道路に行ってみました。雨降りには開くのだから、チャンスはあるはず…送ってもらった写真を手掛かりに、コケに覆われた道路の斜面に目を凝らし、夕日と競争で探していきます。「あった、あった!」思わず声に出すと、傍を歩いていた人が振り返りました。

ツチグリ 2021.9.15

写真の斜面は、もう少し先…一つ目のツチグリに元気をもらって小径にも寄り道してみました。枯葉を踏んだ急ぎ足が突然止まります。「まあ、なんて可愛らしい!」ベージュのツチグリが椿の花のように地面に散らばっているのです。きれいな星形の外皮はピンと尖って、開いたばかりなのか、シミも汚れもありません。「さっきのツチグリとは随分違ってる、新しい個体なのかしら・・・こんなにたくさんあって嬉しい~~。」

エリマキツチグリ 2021.9.15

よく見ると、丸いもの、チューリップのように開きかけたもの、花のように開いているものがあります。

星形の外皮に囲まれた真ん中の球体をそっと押してみました。中心の尖ったところから僅かにほこりが吹き出します。きっと胞子です。球体は柔らかな袋状で、手触りはきめの細かいスウェードのように感じました。

夕食後は撮影した写真をうきうきと眺めたり、図鑑やインターネットを見ていました。多くのツチグリの外皮には裂け目模様があるのに、このベージュの可愛いツチグリにはどうして無いのかしら…なんだか、ちょっと感じが違います。それに生えていた場所も、道路の斜面と枯葉の上と全く違っていました。さらに調べていくと、似たような画像を見つけて・・・「えっ、エリマキツチグリ?!エリマキができるってこと?」

こうなるとエリマキを見ない訳にはいきません。翌日も仕事終わりにダッシュで元宇品に。しかし、エリマキツチグリは何だかしなびたような外観で、あ~ぁ、枯れちゃたんだ…上手くいかないものだなぁとがっかりして帰りました。

三日目は台風接近で夕方から風雨が強くなりました、元宇品の森を心配しながら暴風雨が過ぎ去るのを待ちました。エリマキツチグリはその後どうなったのでしょうか、台風に吹き飛ばされてしまったのでしょうか・・・

なんとまぁ、お手本のようなきれいなエリマキができています。エリマキツチグリはヒメツチグリ目ヒメツチグリ科、ツチグリはイグチ目ディプロシスチジア科、外観は似ていても近縁ではありません。キノコの分類は現在DNA解析を含めて見直しが進んでいるようで様々な資料で分類の記載が違っていました。

5日目
6日目

エリマキツチグリの発生例は広島県内でも少ない方です、との情報も頂き、幸運な出会いに感謝しつつ今年の秋は元宇品のキノコに注目しています。

アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
副代表 畑 久美

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