元宇品で「弱肉強食の世界」を目の当たりに!

元宇品は、江戸時代までは広島沖の完全な「小島」でしたが、明治になって海の埋め立てが進み、曉橋で結ばれ陸繋島となりました。江戸・明治から大正、昭和と戦争を始めいろいろありましたが、戦後は瀬戸内海国立公園の特別地域に指定され、大都会のすぐ近くにありながら元宇品の自然は奇跡的に守られました。その自然の恩恵を受け活動しているのが、「アース・ミュージアム元宇品自然観察ガイドの会」で、私もそのスタッフの一人です。 

海岸沿いの遊歩道(近くに似島、遠くに厳島が見える) 

 周囲3km程度の小さな島で、大部分が小高い山となっており、原生林の面影を色濃く残す照葉樹林で覆われています。島の西半分には海岸沿いに遊歩道が整備され、山側の斜面は手つかずの自然の崖となっており、島の基岩の大部分を占める8,500万年程前に地下深くで形成された花崗岩がむき出しになっています。

海岸沿いの遊歩道(切り立った崖・節理が見える) 

そしてそのむき出しの斜面には、断層や海食崖、海食洞、岩脈などを見ることができ、地球の長い営みの一端を知ることができます。また海側に目をやれば自然海岸が残り、すぐ手の届くような位置に似島の安芸小富士、遠くには厳島を望むことができます。 

目撃現場(海食崖・海食洞が見える) 

そんな遊歩道を歩いて海食崖の表示板の近くまで来ると、崖の裾のところに体長が1メートルを優に超えるような大きな「シマヘビ」が鎌首を持ち上げてじーっと一点を見つめていました。

私が近くまで寄っていったその時に、枯れ葉の下からトカゲが猛烈な勢いで逃げようとしましたが、シマヘビはそれを上回るスピードでトカゲを捕らえ、首に噛みついています。

素早い動きでトカゲを捕らえた

私は慌ててスマホを取り出し動画を撮り始めました。久しぶりに見たこの光景に少し興奮していました。

胴体で完全に巻き付き頭から飲み込み始める

シマヘビは胴体でしっかりトカゲを巻き取り、首から少しずつ頭の方へ噛む位置を変えながら頭から飲み込み始めました。

トカゲの胴体まで飲み込む 
ほぼ飲み込み終える 
食べ終わり、満足げな様子

トカゲを捕らえてから完全に飲み込むまで約5分、その間全く周囲を気にする様子も見せず?完全に飲み込むと満足したように悠々と、しかし私を少し気にするように足早に近くの海食洞に入り込み姿が見えなくなりました。私は、フーッとため息をつき、少し疲れを覚えていました。  

アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会 

森山利夫

次の記事

ツマジロエダシャク