ツマジロエダシャク

秋の夕暮れに元宇品の稜線を歩いていました。ガードレールの観察をしていたところ目が合って…。
「おっ、マクロスの戦闘機みたいでかっこいい!誰?」

2021.10.14

回り込んで見てみるとシャクガ(尺蛾)の1種で元宇品の森でよく見かけるツマジロエダシャク(シャクガ科 エダシャク亜科)でした。前翅の先端に白紋があります。

ツマジロエダシャクが、角ばった切りっぱなしの前翅と後翅を重ねず離して止まっている姿はちょっと変わった蛾に見えます。幼虫はクスノキの葉を食べて育ちます。なるほど、クスノキが多く見られる元宇品の森では極々一般的な蛾と言うわけです。

2021.10.14
2021.5.30 元宇品

シャクガの幼虫は全てシャクトリムシです。なぜ、普通のイモムシのように這うことなく、長さを測るような指の動作に似た這い方をするのでしょうか?

多くのチョウやガの幼虫は胸にある3対の胸脚、お腹の4対の腹脚、お腹の最後部の尾脚の合計8対です。シャクトリムシであるシャクガの幼虫は腹脚の多くが退化しており、1対と尾脚のみになっています。体の中ほどに脚が無いことにより、「尺を取るような」這い方になったのでしょう。

2021.4.22

動画は元宇品の海岸遊歩道です。このシャクトリムシは海に向かって張り出した樹木の枝から落ちたのでしょうか、一生懸命森を目指して這っていました。

アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
副代表 畑 久美