宇品島の歳時記【冬至】
こよみ便覧(べんらん)では 「日南の限りを行て、日の短きの至りなれば也」
北半球では太陽の南中高度が最も低く,一年で最も日の出から日没までの時間が短くなる日です。しかし,日の出が一番南になるのでも一番遅いのでもありません。不思議です。この日を境に次第に日が伸びてゆくため,昔は冬至が一年の始まりとされていました。
冬至には柚子湯に入りますが,瀬戸内の島では冬の風呂と言えば「ミカン風呂」です。食後のミカンを干して,布袋に入れ風呂に浮かべました。
乃東生(なつかれくさしょうず) 12月22日~12月25日
乃東とはウツボグサの古い名です。生薬の夏枯草(かごそう)はウツボグサから作られます。夏至のころ葉は緑色なのに花穂だけがカサカサに茶色く枯れることからそう呼ばれるようです。
寒気が増すこの頃には冬が深まり,野山では草花が枯れていきます。
草木は枯れていますが,山の小鳥たちは元気に鳴いています。 ふくらすずめが観られるのもこの頃です。
摩角解(さわしかつのおつる) 12月26日~12月30日
さわしかがどのシカを指すかは様々見解がありますが,シフゾウが最もそれらしいのではないでしょうか。動物性のたんぱく源を摂取する目的で,食用として捕獲されたため一度は絶滅したものですが,発見飼育され,広島でも安佐動物公園でその姿を観ることができます。シカは冬になると枝分かれした大きな角が抜け落ち,春にまた新しい角が生え始めます。
宇品島にシカがいた記録は見当たりません。島の生活では,動物性のたんぱく源は魚介類で十分だったと思います。
26日には元字品でも雪が降り,次の朝にはうっすらと積もりました。
12/26雪げしき
白菜は普通越冬のために葉を括りますが,この程度の雪では降霜雪の害は無いようです。
西海岸を歩いているとオオキンカメムシが息絶えていました。うまく冬越しできなかったのでしょうか。
降雪の天候のためでしょうか,日中なのに灯台が灯っていました。
雪下出麦(ゆきくだりてむぎのびる)12月30日~1月4日
降り積もった雪の下で麦が芽を出しはじめる頃。
宇品島では年明けとともに宇品沖に停泊する船が一斉に汽笛を鳴らし,プリンスホテルの沖から花火が上がります。
観音寺の梵鐘は大東亜戦争の時,金属回収令により供出したため無くなっていたのですが,昭和37年12月24日,町の人たちの寄付により新たな梵鐘を製作設置したそうです。 年が変わって花火が終わってから最初の鐘を撞き始めます。 108個のミカンが準備されていて,撞いた人は頂いて帰ります。
皆さま,あけましておめでとうございます。
穏やかな正月を迎えることができました。絵下山からの初日の出です。山の上には12人ほどご来光を拝みに来ていました。
三が日は暖かい日が続きました。
エンドウが白い花を咲かせています。
その脇を,腹の黄色いキセキレイがしっぽを上下させて可愛く歩き回っていました。
もしかして・・・豆狙い?
アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
坂谷知子