小さなゴールキーパー『コガネグモ属の幼体』其の2

元宇品のコガネグモの幼体達、寒さが厳しくなった今はどうなっているのでしょうか?

知り合いの昆虫館の先生にアドバイスをお願いしてみました。
「幼体のまま冬越しをしていると考えられますか?どうやって調べたら良いですか?」
「うーん、落ち葉の下で冬越ししているという仮説なら、大きなゴミ袋に周辺の落ち葉を全部入れて持ち帰り、ザルで濾して見つけることです。クモが見つかれば証拠になりますからね…」「えーっ、周辺の落ち葉全部ですかぁ…」昆虫館の先生は「次は6本脚の質問をお待ちしています」と笑っておられました。想像はしていましたが、気の遠くなる作業でその後のクモ達を発見することは半ばあきらめてしまいました。

元宇品冬の林床 2022.1.8

12月に入って元宇品もすっかり冬景色になり、子グモを見たのは12月16日が最後となりました。25日には積雪があり、うっすらと雪景色になりました。

新年2回目の元宇品、今日は林床を歩いて去年の冬と比べます。1年振りの観察ポイントもあり、去年の冬を思い出しながら写真を撮りました。谷の底で去年発見した錆びた植物名の看板を手にしたとき、何かが見えました。

幼体 2022.1.8
幼体 2022.1.8

「うわ~、こんなところに!!」倒れていた植物看板を起こしたときに子グモは少し歩きましたが、すぐに脚をそろえてⅩ字になりました。良く観察するとクモは網を張ってはいません。今日は天気も良く風も無いので林床には小さな虫が飛び交っています。網を張れば虫がかかるかも…という状況でしたが、クモは網を張ることなくじっとしています。これが元宇品でのコガネグモ幼体の越冬の形なのでしょうか…。
林床から稜線にあがり、島中のガードレールを調べて回ると、1個体の幼体を発見。このクモも網を張ることなくガードレールの窪みに張り付いていました。

幼体 2022.1.8

アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
副代表 畑 久美