宇品島の歳時記(夏至)
こよみ便覧(べんらん)では 「陽熱至極しまた、日の長きのいたりなるを以てなり」
北半球では一年中で一番昼が長く夜が短い日になります。気温が上がって暑さは日に日に増しますが,日照時間は冬に向かって少しずつ短くなります。
乃東枯 (なつかれくさかるる) 6月21日~6月25日
冬至の頃に芽を出した「靫草(うつぼぐさ)」が枯れていく頃。
乃東とはウツボグサの古い名です。生薬の夏枯草(かごそう)はウツボグサから作られます。夏至の頃,葉は緑色なのに花穂だけがカサカサに茶色く枯れることからそう呼ばれるようです。
夏至の頃の元宇品の原っぱと言えば,エノコログサが勢いを増します。語源が「犬っころ草」なのに通称が「猫じゃらし」なのが面白いですね。
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初夏に花を咲かせたフジやクリが結実してきました。
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西海岸のツユクサを観察していると,光沢がある黒色のハムシがツユクサを食していました。赤とんぼ広場の砲台付近にあるアベマキの落葉の下にも黒いシデムシが身を隠していました。傍に平らなダンゴムシのようなシデムシの幼虫も発見しました。
菖蒲華 (あやめはなさく) 6月26日~6月30日
アヤメが花を咲かせる頃。
昭和の頃は元宇品の家々には良くアヤメが咲いていたのですが,最近は見かけなくなりました。
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佐伯区石内
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28日には梅雨が明けました。夏本番になって,野原にはトンボが飛び交い山からはセミの鳴き声が聞こえ始めました。
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6月30日は,元宇品の住吉神社で「夏越の祓(なごしのはらえ)」とよばれる神事が行なわれます。 穢れを祓い清め無病息災を祈願しながら大きな茅の輪(ちのわ)をくぐります。「人形代(ひとかたしろ)」という人の形に切った紙に息を3回吹きかけ,平素の罪・穢れを人形に託し神前でお祓いを受けます。
半夏生 (はんげしょうず) 7月1日~7月6日
半夏(からすびじゃく)が生える頃であり、半夏生の名をもつ草の葉が白く染まる頃 。
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アカメガシワの雄花が満開で黄色い花が見事です。
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山の中で育っているヒメヒオウギスイセンは球根が分球し,枯れにくいため勢いよく増えています。今年は梅雨が短期間であったため,雨を嫌うトマトが育ちやすい環境になりました。
森の中では,ウグイスと競うように夏の鳥キビタキが美しい鳴き声を響かせていました。
今年の夏は暑さが長引きそうです。熱中症に気を付けて過ごしましょう。
アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
坂谷知子