9月の勉強会【秋の訪れ】
2022年9月25日(日) 10:00~15:00
参加者7名、ガイド14名
9月の地球さんぽは久しぶりにちょうど良い気候に恵まれて、気持ちよく歩く事ができました。
今月のテーマ「秋の訪れ」勉強項目はアベマキ、イヌビワ、オオゴキブリです。
午前~お散歩コース
オオゴキブリはガイドメンバーが事前に捕獲飼育していた数匹を持参してくれて、説明を聞きならじっくりと観察しました。
オオゴキブリは3年くらいの期間をかけて、6〜11回も脱皮を繰り返えすこと、最後の脱皮で羽化して成虫になること、お腹に消化・分解を助けてくれる微生物がいて、脱皮の時は、一旦体外に出て、脱皮が終わるとまた戻って来る事など、興味深い生態にみな聞き入っていました。それぞれ成長段階の違う個体がいて、わかりやすかったです。
ゴキブリと言うネーミングで誤解されがちですが、衛生害虫のゴキブリの生態とは異なり、森の朽木を分解し土に返す大切な役割を担っている事を学習しました。
公園内を少し移動して、アベマキ、クヌギ、クリの似た者三兄弟の違いについて、実物の葉っぱを見ながら説明を聞きました。
しっかり説明を聞いて、さんぽに出発です。
沿道の草木に目をやりながら進んで行きます。注意深く観察するといろんな発見があります。
テイカカズラの実が見つかりました。
枝の先端にインゲン豆の様な形の実が逆V字に着いています。実が弾けると綿毛のついた種子が風に乗って飛んでいきます。
もう一つ今月の観察予定のイヌビワに出会いました。
イヌビワは雄株と雌株があり、イヌビワコバチの媒介によって受粉するのですが、イヌビワとイヌビワコバチの共生関係は実によくできたシステムだなぁと感心します。
一つ実を拝借して果たしてイヌビワコバチがいるのか…?
割ってルーペで確認すると、イヌビワコバチが見えました。
その後、海岸を通って森へ入り、途中、オオゴキブリが好みそうな朽木を横目に、眼下の浜から聞こえてくる波音に癒されながら足を進めて行きました。
日頃、見落とす様な些細な物に目を凝らし、新たな発見にワクワクする、そんな時間でした。
午後~お勉強会
オオゴキブリ
オオゴキブリは全身漆黒、成虫の体長が40mm、外骨格は甲虫のように固く、肢は強くトゲが発達しています。
腹部は楕円形で、翅線よりも露出しているのが特徴です。
生態は食材性の昆虫で、消火・分解の補助のため腸内に微生物が共生しています。
元宇品での暮らしぶり
森は倒木が放置されており、腐朽菌によってオオゴキブリの最適な住処になります。ペアリングすると朽ち木に入り、ファミリーで幼虫・成虫ともに朽ち木で暮らしています。オオゴキブリは倒木を土に返すという森の生態系に欠かせない存在と言えます。
アベマキ・クヌギ・クリ
アベマキ、クヌギはそっくりで、葉っぱの裏に毛が密集しているかいないかで見分けます。
残念ながら元宇品のクヌギはアベマキと交配して純粋なクヌギではないだろうと言う事です。
クリは葉っぱの鋸歯(葉っぱの先のギザギザのところ)まで葉緑体があるそうです。ルーペで見ると確かに!見えました。
ナラ枯れについて
広島県下の山同様に元宇品でもナラ枯れの問題は深刻です。
カシノナガキクイムシによって引き起こされる病気ですが,環境保護の観点から課題の多い問題であることが判りました。
イヌビワの七不思議
イチジクなのにビワ?雌雄別株,イヌビワコバチと絶対共生,雌株は雌花のみで雄花がない,雄株には雌花も雄花もある。
雌株の雌花の花柱は長く,雄株の雄花は短い。雄株の雌花に,コバチの虫えいを宿す。
イヌビワコバチ
オスのイヌビワコバチには羽が無く生涯生まれたイヌビワから出ることはありませんが、全ての動植物には種の繁栄と進化と言うミッションがあり、全ての生に意味があると改めて気付きます。
アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
リンリン