宇品島の歳時記(秋分)
こよみ便覧(べんらん)では 「陰陽の中分なれば也」
春分と同様に秋分では昼夜の長さが等しくなります。 しかし,実際には昼の方が夜よりも長く,日本付近では,年による差もありますが平均すれば昼が夜よりも約14分長いそうです。
雷乃収声 (かみなり すなわち こえを おさむ) 9月22日〜9月27日頃
夏の間に鳴り響いた雷が収まる頃。
空には鱗雲があらわれます。「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉の通り、例年では残暑も落ち着き秋の気候へと変わっていくところですが,今年は秋分になっても30度を超える日がありました。
宇品島の空は,ツバメが飛び去り,ヒヨドリの大群が飛び回る時期となりました。今年も,あちらこちらの山の斜面でヒガンバナの花が咲き始めました。
ヒガンバナにモンツキチョウがやってきました。
ハナミヅキが紅く可愛い実をつけています。
灯台別れの三差路付近にヌルデが赤色の種をつけていました。ヌルデにはヌルデシロアブラムシが寄生して,大きな虫こぶを作っていました。この虫こぶからは,黒い染料が採れますが,明治時代まではこれを歯に塗ってお歯黒として使用されていたようです。
蟄虫坏戸 (むしかくれて とをふさぐ ) 9月28日〜10月2日頃
外で活動していた虫たちが冬ごもりの支度をはじめる頃。虫たちは秋冬が終わるのを、約半年間も土の中で静かに待ちます。そして、啓蟄の頃に再び姿を現します。
畑ではマルバアメリカアサガオが可愛い花を咲かせています。朝には薄青色をしていますが昼過ぎにはピンク色に変わってしぼんでいきます。
森の中を歩き回る森のお掃除屋さんのキマワリですが,暑さが落ち着くと朽ち木の中で冬越しするのでしょうか?海岸の遊歩道でスズメバチの成虫が数匹息絶えていました,寿命なのでしょうか? カマキリの死骸をアリたちが巣へ運んでいました。
畑の法面の雑木で発見したセンニンソウがですが,果実から伸びた銀白色の長毛を見つけました。密生した様子が仙人の髭に見えますか?
水始涸 (みず はじめてかるる) 10月3日〜10月7日頃
田の水を落として、稲穂の刈り入れを始める頃。収穫の秋真っ只中で、大忙しですが、黄金に色づいた稲穂が輝き、風になびく風景はとても美しいです。
冬野菜の植え付けの時期です。落ち葉を集めた腐葉土を土の中に漉き込み土づくりしますが,腐葉土の中にはカブトムシの幼虫が大きく育っていました。ハクサイの植え付けも終了。大きくなるかな?
涼しくなってきてスイフヨウの花も咲き収めでしょうか,アサガオ同様に朝は白色お昼には桃色,夕方になると紅色に変わっていきます。大きな花弁に紅白のコントラストがとても目を惹きます。
昨年の10月に「アサギマダラ誘致大作戦」の第2弾として,畑にフジバカマを移植しました。例年では宇品島で観察できるのは10月の中旬です。観察できるといいですね。
アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
坂谷知子