宇品島の歳時記(寒露)
こよみ便覧(べんらん)では 「陰寒の気に合って露結び凝らんとすれば也 」
寒露(かんろ)とは,夜が長くなり、露がつめたく感じられる頃。朝晩の冷え込みはきつくなりますが,空気が澄んだ秋晴れの過ごしやすい日が多くなります。夜空を見上げると,より美しくきれいに輝く月が見られます。
10月8日は十三夜でした。
鴻雁来(こうがんきたる)10月8日〜10月12日頃
ツバメと入れ違いに雁が北から渡ってくる頃。雁は日本で冬を過ごし,暖かい春になるとシベリアの方へ帰っていきます。毎年,初めに訪れる雁を「初雁(はつかり)」と呼びます。
我が家でも秋の収穫祭,クリとサツマイモをいただきました。
毎年衣替えの頃になると,庭先ではジョウビタキの「ピッ,ピッ」というさえずりが聞こえだします。テリトリーがあるらしいので毎年同じ鳥が来るのかしら?
ヒヨドリジョウゴという命名は,ヒヨドリが食べることからついたと言われるのですが,実際は食べられることはないそうです。
紫の豆の花を発見しました。春に良く観るエンドウの花に比べると小さく可愛いです。
ヒッツキムシの仲間,私が宇品島に住み始めた40年前頃はオナモミ・センダングサ・イノコヅチが3大ヒッツキムシでしたが,最近はアレチヌスビトハギにその主役を奪われてしまいました。
菊花開(きくのはなひらく)10月13日〜10月17日頃
菊の花がさく頃。各地で、菊の展示や菊まつり、品評会が行われます。菊には不老長寿の薬効があるとされ、旧暦9月9日の重陽の節句には、菊の花を酒に浮かべた菊花酒を飲む風習がありました。
別名「赤まんま」,おままごとの主役ですが,実際は食べられません。
見かけは小さなミカンを想わせ、和名の由来にもなっています。別名キツネノチャブクロというそうです。
イヌタデ,コミカンソウ共に我が家の畑ではよく見かけます。
可愛い花を咲かせていたヘクソカズラが実を付けていました。この実はリース製作によく使用されます。畑には多くの蝶が乱舞しますが,この時期に最も見かけるのがシジミチョウの仲間です。
去年はなかなか開花せず,あの香りが漂うのが遅くなりましたが,今年は例年通りに開花しました。
蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)10月18日〜10月22日頃
蟋蟀(キリギリス)が戸口でなく頃。この候の蟋蟀は,夏から冬にかけて見られ,鈴のような音色を響かせるツヅレサセコオロギだと言われています。ギーッチョンと機織りのように鳴く蟋蟀ではありません。
畑の2大益虫カマキリとテントウムシ,秋になっても害虫たちを捕食してくれます。
いただいた渋柿を干してみました。とても甘い干し柿になりました。夕暮れに一瞬で空がピンク色に変わりました。我が家では日没のようすを観ることができないのが残念です。
10.23 アサギマダラ 江村岡
「アサギマダラ誘致大作戦」結果報告
ついに畑のフジバカマにアサギマダラがやってきました。約1時間,花の蜜を吸ったり,周囲のツマグロヒョウモンやモンシロチョウと乱舞していました。
アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
坂谷知子