変形菌事始め 其の3
学生時代の恩師の紹介で、福井の変形菌の専門家よりアドバイスを頂き、広島在住の先生を紹介して頂くことが出来ました。全くの素人の私に、先生方はメールや電話で丁寧に教えて下さいました。
4mを超える「変形体」というのは大きいものです。
「子実体」は成熟すると、そのキノコのような頭が割れてそこから胞子が飛び出します。
これはモジホコリという変形菌の仲間でしょう。子実体の頭が亀の甲羅のように割れているので、『アオモジホコリ』という変形菌かも知れませんね。
この白いのは「カビ」でしょう、変形菌の子実体に広くカビが生えているのです、カビが生えることは良くありますね…。
私の頭の中の霧がゆっくりと晴れていくような気がしました。
月末の地球さんぽ。
「えーっ、先生!!わざわざ来て下さったのですか!」なんと変形菌の先生は、私の連絡から時を置かずに元宇品で変形菌を採集され、その標本を持ってきて下さったのです。初めて見る変形菌の数々・・・うわぁ、これは『ウツボホコリ』、うわぁ、これが『ウルワシモジホコリ』名前の「麗し」の通りピンク色で可愛い~、へぇ~『ススホコリ』…
元宇品で採集されたという事実と、何より本物が目の前に!実物のサイズ感も得て、私も絶対出会ってみたい、出会うことが出来そうと言う気持ちが強くなりました。
今やペンライトを片手にルーペを首から下げた姿は、カープ女子ならぬ変形菌女子です。それから元宇品に通うこと数回、キノコや鳥の糞を間違えながらの変形菌初心者アルアルを経て…小径の谷の倒木を覗いていると・・・倒れた針葉樹の剥がれた樹皮の上!「見つけた!きっとそう!」小躍りして喜ぶ私を見て、森の妖精たちはクスクス笑っていたことでしょう。
ひょろりとした音符を逆さまにしたような黒い子実体、待ち針の頭は良く見ると扇風機のスポークのようであり…付け根にはお皿が見えるから、サラクモノスホコリかしら。
ふわふわの糸くずをまとめたような…触ると「あっ、胞子が出た!」これはウツボホコリの仲間?
元宇品からまた新しい扉が開いて、誰かの呼ぶ声が聞えます。
【参考図書】
粘菌~驚くべき生命力の謎~ 松本淳解説 伊沢正名写真 誠文堂新光社
世にも美しい変形菌 川上新一/監修 高野丈/分・写真 文一総合出版
アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
副代表 畑 久美