海辺の生き物:ミルを見てミルと… 【ヒラミルミドリガイ】

元宇品の6月の浜辺です。大潮の砂浜には大量の海藻が打ち上げられました。「ミル」という海藻を手に取ると、小さな渦巻を発見。 

お、お~!これはウミウシの「ヒラミルミドリガイ」の卵塊だ… 

ウミウシが、中心から外へと反時計回りに動きながら卵を生みつけて行くので渦巻模様ができるのです。 

大潮で海藻が砂浜を埋め尽くすように流れ着いています。 

潮が引いた岩場はまるでミルの畑のようです。 
探してみると、ヒラミルミドリガイの卵塊が次々に見つかりました。 

これも! 

これも! 

これも! 

この卵塊を産んだヒラミルミドリガイは『盗葉緑体現象』が見られるウミウシとして知られています。ウミウシが葉緑体を別の生物から取り込むこの現象は、日本人によって世界で初めて発見されました。 

葉緑体を盗む、とはまた物騒な表現ですが…ウミウシは歯舌でミルの細胞一つ一つに穴を開け内容物を吸い取ります。餌として食べたミルの「葉緑体」は消化されずにウミウシの細胞内に取り込まれ、その光合成からもエネルギーを得るのです。食べた葉緑体はウミウシの胃から細胞に移動して一定期間保持されます。ヒラミルミドリガイは,光合成のみで生きられるというのではなく、餌を食べ続けているときに光が当たるとより多くのエネルギーを得ることができるということです。 

参考 
奈良女子大学理学部 化学生命環境学科 生物科学コース・環境科学コース兼担 遊佐陽一 
光合成研究 18 (2) 2008 Microsoft Word – 光合成研究52.doc (photosyn.jp) 
うみうし通信 №60 2008.9 umi60.tp3 (gifu-u.ac.jp) 

アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
副代表 畑 久美