子どもたちが見つけたものは…

令和2年9月,宇品小学校の海の観察会の日のことです。コロナ禍では初めての野外活動で,子どもたちは活き活きした表情を見せてくれました。元宇品の展望台に上がる階段の手前,時には波が洗う遊歩道で,4年生が突然輪になって騒ぎはじめました。よく見ると首が赤色のアリのような小さな,小さな虫が歩いていました。

クビアカトラカミキリ

虫の名前は「クビアカトラカミキリ」(甲虫目、カミキリムシ科)です。カエデやアキニレなどの倒木に生息している虫です。元宇品では余り見かけることのない虫です。台風や強風の時,流木などに乗って元宇品にやって来たのかも知れないと昆虫の先生に教えて貰いました。 

もう1匹は展望台の階段で見つけた虫。名前は「ハンミョウ」(甲虫目、オサムシ科)です。

ハンミョウ

甲羅に青、赤、白の模様を持っている2センチメートルほどの虫で,美しく鮮やかです。調べてみると道案内をするとも言われ,「ミチシルベ」「ミチオシエ」の別名を持っています。少し飛んでは人を待って,人が近づくと又飛ぶことを繰り返す不思議な虫です。この虫は成虫,幼虫共に鋭い大きなあごでアリ等の虫を捕らえて食べます。特に幼虫は大あごの顔を蓋替わりに出して,体は地面の丸い穴の中に隠れています。穴の近くを虫が通ると,その大あごで飛び掛かり,噛みつき,穴の奥へ引きずり込んで食べるそうです。 

調べれば調べるほど、もっと知りたくなります。
虫の苦手な私を、知らないことがまだまだあるよと、元宇品の自然は誘ってくれます。 

アース・ミュージアム元宇品 自然観察ガイドの会
佐藤美佐子